気がつけば、盆も過ぎ、夏もあと少しで終わり。
楽しかった7月のみみずくずのライブが終わった後は、なんやしらん仕事ばっかししていた。
人生のうちで、まともに働いたことなどそうないもので、身体がびっくりしたのだろうか?
慣れない毎日に早速、身体を壊してしまった。
それでも珍しく、酒量を減らして睡眠増やして、半分意地になって仕事を詰めていた。
余計なことを考えたくなかった。
今考えたらあかんことばかりを考えてしまいそうで、心がぐらぐらに揺れていた。
駅のホームで熱風に吹かれながら、そんな自分は溶けてなくなればいいと思った。
休みたいなー遊びたいなーと思いながら働いていると、ヘッドフォンで聞く音楽が胸に染みた。

久しぶりの休日。
朝からギターを磨いて弦を張り替え、スタジオに入った。
相変わらず、ギターは弾けないけど、アイデアがいっぱい出て来て、
大きな声や小さな声やいろんな声を出していたら気持ちよくて、悦に入った。
ふと気が付くと、スタジオの鏡に写っている自分が、知らない人に思えてきて、
随分歳もとったけど、これからまだやるべきことがたくさんあるような、新しい気持ちになれた。

母が死んでもう2度目に盆になるが、不思議な気持ちだ。
仏壇を磨いて、お経をあげ、線香をあげてみるが、どこかで母の供養の為にやっているような気になれない。
死んだ人はもっと遠くにあって、自分とは全く別のところにいるものかと思っていた。(別のところにいるけどね)
母が死ぬまで持っていた携帯を、仏壇の下にしまってあるのだが、実は一度も開いたことがない。
母のプライベートを、勝手にみることに気がひけるのもあるが、本当は怖いだけかもしれない。
とんでもない新たな事実が出てきたり、わたしの知らないほんとうの母の気持ちがしまってあるかもしれないと思うと、
見たくて仕方ない気持ちになるが、いつもやっぱり止めにしてしまう。

冷蔵庫を開けて、最近あまりの牛乳の減りの早さに首をかしげていると、Pちゃんが言った。
「てんたが最近すごく牛乳飲むんだよ。」
「そうなんや、前はイマイチやったのにね。」
「勝手に冷蔵庫開けて飲んでるよ。ドラゴンボールの悟空みたいに強くなる!って。」
「ふーん。」
「牛乳飲んで、強くなって、ドラゴンボール集めて、ちゃーちゃん(私の母)を生き返らせるんだって言ってたよ。」
「あほか。」
そう言ったけど、わたしが線香をあげていると、いつも黙って後ろでじっとそれを見ているてんたを思い出して、トイレでちょっと泣いた。